■結論:鉄骨製作工場の仕事は「鍛冶工・溶接工・検査・工作図・製作管理」の5つに分かれる

鉄骨製作工場(鉄骨ファブ)の仕事は、ひとりが全部を担当するわけではありません。鍛冶工・溶接工・検査・工作図・製作管理という役割に分かれ、ひとつの部材が何人もの手を通って完成します。
求人では「溶接工」「鍛冶工」という名前をよく見ますが、実際の工場には、図面をもとに製作の指示書(工作図)を作る人、できた部材を確かめる検査の担当、工程と資格者の配置を管理する人もいます。役割を知っておくと、自分がどこから工場に入り、その先どこを目指せるかが見えてきます。
👉 未経験で入る方の多くは鍛冶工・溶接工の現場作業から始め、経験を積んで検査・工作図・製作管理へと役割を広げていきます。
■鍛冶工:図面どおりに部材を組む人

鍛冶工は、鋼材にケガキ(印付け)をして、切断・孔あけ・開先加工を行い、定盤の上で部材を寸法どおりに組み立てる(仮付けする)人です。天井走行クレーンでの玉掛け・運搬も鍛冶工が担当します。
- ケガキ・切断:バンドソー・自動ガス切断機など
- 孔あけ:直立ボール盤・アトラエースなど
- 組立(仮付け)・運搬:定盤で寸法どおりに固定し、クレーンで動かす
部材の寸法・直角・反りの精度は、この段階でほぼ決まります。次の工程の溶接がきれいに入るかどうかも、鍛冶工の組み方次第です。資格としては法定の技能資格というより図面と段取りの技能が中心ですが、部材を動かすには玉掛け技能講習やクレーン運転の資格が要ります。鍛冶工と溶接工の分担の違いは関連記事「鍛冶工と溶接工の違い」に詳しくまとめています。
■溶接工:接合を仕上げる人

溶接工は、鍛冶工が組んだ部材を本溶接でつなぎ、自分で外観と寸法を検査して記録する人です。半自動溶接(CO₂)が中心で、下向・横向の姿勢で溶接します。
建築鉄骨の溶接工には JIS Z 3841 の溶接技能者資格が必要です。工場のグレードごとに要る資格の種類が決まっており、当社が認定を受けているMグレードでは SA-3F・SA-3H の有資格者が本溶接を担当します。当社には JIS 溶接技能者が5名在籍しています。
資格の段階や記号の読み方は、関連記事「鉄骨の溶接工の仕事内容と1日」「溶接技能者の資格」に詳しくまとめています。
■検査の仕事:外観・寸法・UTを確かめる人

検査担当は、溶接や組立の出来を外観検査・寸法検査・超音波探傷検査(UT)で確かめ、記録に残す人です。溶接工が自分の溶接を自主検査したうえで、検査担当が改めて確認します。
鉄骨製作工場の性能評価基準では、工場のグレードに応じて建築鉄骨製品検査技術者や超音波検査技術者の資格を持つ人を置く体制が求められています。検査は「作った人以外の目」で確かめる仕事で、品質の最後の砦です。
当社の超音波探傷器(USM35XJE)・膜厚計・溶接ゲージ・開先ゲージも、こうした検査に使う道具です。検査技術者の資格の種類は関連記事「建築鉄骨の検査技術者資格」にまとめています。
■工作図を作る人:設計図から製作の指示書を起こす

工作図(製作図)は、設計図をもとに、どの部材をどう溶接し、どこにボルト孔を開けるかまで描いた製作の指示書です。工作図を作る担当は、鉄骨専用CADを使って部材ごとの図面を起こします。当社は鉄骨専用CAD「REAL4」を3台使用しています。
鍛冶工・溶接工は工作図の寸法や記号を読んで施工します。性能評価基準で二級建築士や鉄骨製作管理技術者2級などの資格が求められるのは、グレードに応じて配置する工作図管理技術者です。CADで工作図を作る担当者全員に同じ資格を要求する制度ではありません。管理技術者の下で作図・照合・承認を分担します。
■製作管理:工程と資格者配置を管理する人

製作管理は、受注から出荷までの工程を組み、板厚・姿勢に応じた有資格者を配置し、記録を管理する仕事です。鉄骨製作管理技術者や溶接管理技術者の資格を持つ人が担当します。
当社には鉄骨製作管理技術者1級2名・2級3名、溶接管理技術者2級2名が在籍しています。工程ごとに確認・記録する体制を、こうした有資格者が支えています。少人数の工場ほど、ひとりが複数の役割を兼ねることも珍しくありません。
■へむろ鉄工の場合(溶接工・鍛冶工を募集中)
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)は、国土交通大臣認定Mグレードの鉄骨製作工場で、溶接工・鍛冶工を正社員で募集しています。雇用形態は正社員、就業時間は 8:00〜17:00(日勤)、月給 176,000円〜330,000円(経験・資格による)、試用期間なし、資格取得支援あり(受験料・講習費は会社負担)、年間休日100日、マイカー通勤可・無料駐車場ありです。
仕事内容・募集要項・応募方法は 採用情報(溶接工・鍛冶工の求人) にまとめています。「工場を見てみたい」だけのご連絡も歓迎です。
■おわりに
職種の役割分けは鉄骨製作工場に一般的な考え方で、有資格者の人数・設備・募集条件は当社の実際の値です。工場ごとに役割の呼び方や分担は多少異なります。
鉄骨製作のご相談はお問い合わせからどうぞ。
関連記事:
👉 鍛冶工と溶接工の違い|鉄骨製作工場の職種と、部材ができるまでの分担
👉 建築鉄骨はどうやって作られる?図面から建方まで
👉 溶接技能者の資格(JIS Z 3841 SA-3F/3H など)と鉄骨工場で必要な人数
参考にした基準・資料:公共建築工事標準仕様書(鉄骨工事の工作の流れ)/鉄骨製作工場の性能評価基準(工場の管理体制・有資格者の配置)/JIS Z 3841(半自動溶接技術検定)/株式会社へむろ鉄工 採用情報・会社案内 2026年9月改訂版(有資格者一覧・設備)
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)。国土交通大臣認定 Mグレードの建築鉄骨製作工場です。工作図・現寸(REAL4)から製作・検査・出荷まで社内で行い、製作のみ・建方込み・協力工場としての製作分担のいずれの形でも、茨城県内と関東圏を中心に受けています。
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確認資料:全国鉄骨評価機構「グレード別適用範囲」および鉄骨製作工場の性能評価基準。管理技術者の配置要件と個々の作図担当者の条件を区別しました。(2026年9月28日改訂)
