最初の1年の流れ。安全の講習、補助、仮付け、資格取得、本溶接へ

未経験から鉄骨の溶接工になる1年目|覚える順番と最初に取る資格【鉄骨ファブが解説】


■結論:安全教育と補助作業から始め、練習・資格取得を経て担当範囲を広げる

図の「仮付け」は練習と製品への施工を区別します。製品の組立溶接にも適用仕様に応じた技能資格が必要です。
図の「仮付け」は練習と製品への施工を区別します。製品の組立溶接にも適用仕様に応じた技能資格が必要です。

未経験から鉄骨の溶接工を目指す場合は、安全教育 → 補助作業・練習 → 必要な技能資格の取得 → 資格と技量に応じた製品施工という順に担当範囲を広げます。先輩と一緒でも、法令や工事の仕様で必要な教育・資格を省略できるわけではありません。

この記事は育成の流れの一例です。受験に必要な習得期間と、製品を任せられるまでの育成期間は別で、人や工場、担当する溶接の種類によって変わります。

👉 進む速さは人によって違います。経験者は工作図を読んで段取りできれば、入社後すぐに本溶接を担当することもあります。未経験の方は、先輩と二人一組でできることを一つずつ増やしていきます。


■入社してすぐ受ける安全の講習:特別教育とは

特別教育と技能講習・資格の違い
玉掛け・クレーン運転・アーク溶接は、それぞれの業務に就く前に必要な教育・資格を確認します。

未経験から溶接工の仕事を始める場合、まず受けるのが特別教育です。労働安全衛生法59条・同規則36条により、危険・有害な業務に就く前に、事業者(会社)が行う教育です。試験に合格して取る資格とは違います。

溶接であればアーク溶接等の特別教育が該当します。これを受けてから、実際の作業に入ります。

  • 特別教育:試験なし。事業者が行う。業務に就く前に必ず受ける
  • 技能講習:玉掛け・クレーン運転などが該当(区分や内容は別の記事で扱います)
  • JISの資格:溶接技能者など、試験に合格して取る資格

特別教育・技能講習・JISの技能資格は別の制度です。担当する業務に就く前に必要な教育や資格を満たし、習熟を確認してから作業範囲を広げます。


■覚える順番:補助・開先加工・練習から製品の溶接へ

工作図の読み方・溶接記号・測り方は実物の部材を前に教える
工作図の読み方・溶接記号・測り方は実物の部材を前に教える

切断・孔あけの補助、図面の読み方、開先加工の確認、練習材での溶接などを段階的に学びます。製品への組立溶接・本溶接は、それぞれに必要な技能資格と施工条件を確認して担当します。

初めは測定や段取りの補助から工作図を覚えます。溶接機を扱う練習は、必要な安全教育を済ませ、指導の下で行います。練習材への仮付けと、建物に使う製品の組立溶接は別です。

  • ① 切断・孔あけの補助:測る・運ぶ・押さえる、図面の見方を覚える
  • ② 開先加工:開先角度・ルート面の寸法を出す
  • ③ 組立溶接の練習:位置・長さ・施工条件を覚える。製品への施工は必要な資格・技量を確認してから
  • ④ 本溶接:資格を取ってから。下向 → 横向の順で範囲を広げる

工作図の読み方、溶接記号、寸法の測り方は、実際の部材を前にして教えます。「なぜその手順か」を確かめながら、少しずつ本溶接に近づいていく形です。


■最初に目指す資格:SA-2F・SA-3Fなど、担当作業に合う基本級

未経験から基本級SA-2F、専門級SA-3F・SA-3Hへ進む段階
図の補足・訂正:2=中板、3=厚板。SA-2F・SA-3Fは基本級、SA-3Hは専門級です。

半自動溶接の技能資格はJIS Z 3841に対応します。SA-2F(中板・下向)とSA-3F(厚板・下向)はどちらも基本級です。日本溶接協会の受験条件は、満15歳以上で1か月以上の溶接習得。どちらを目指すかは、仕事の範囲と指導計画に合わせて選びます。

SA-3H(厚板・横向)などが専門級です。受験には満15歳以上、3か月以上の習得と対応する基本級が必要で、同時受験の扱いは試験案内で確認します。SA-3Fは専門級ではなく、SA-2Fの取得が一律の前提でもありません。

鉄骨製作工場の性能評価基準では、工場のグレードごとに必要な資格が決まっています。当社(Mグレード)の認定範囲(下向・横向、板厚40mm以下)で本溶接を担当するのは、SA-3F・SA-3Hの有資格者です。資格の段階については関連記事「溶接技能者の資格と鉄骨工場で必要な人数」に詳しく書いています。


■1年の目安:安全の講習から資格取得までの順番

入社直後から本溶接を任されるまでのタイムライン
図の年次計画は一例です。SA-3Fは基本級で、資格取得前の練習と製品の組立溶接を区別します。受験条件の習得期間は育成完了までの期間ではありません。

入社後は必要な安全教育を受け、補助作業と練習を通じて技量を身につけます。受験条件を満たしたら仕事に合う基本級を受験し、合格後も施工方法・板厚・姿勢と実際の技量を確認して、製品の担当範囲を決めます。

「1か月以上」「3か月以上」は日本溶接協会の受験条件に関する習得期間で、仕事を一人で任せるまでの標準日数ではありません。経験者の場合も、保有資格の有効期限・適用範囲と工事の要件を確認します。


■未経験者が身につけるもの:工作図の読み方と測り方

工作図で見るところと実物の部材で覚えること
図面の記号だけを覚えても、部材を前にしないと身につかない

溶接の技能と並行して身につけるのが、工作図の読み方です。符号(部材の呼び名)、寸法、溶接記号(△や矢印の意味)を、実際の部材を前にしながら覚えていきます。

測り方も同じです。現尺・ケガキで寸法を確かめ、溶接ゲージや開先ゲージで測る。先輩の作業を見て、同じ場所を自分でも測ってみる、という覚え方です。図面の記号の読み方は、関連記事「溶接記号の読み方」が入口になります。


■へむろ鉄工の場合(溶接工・鍛冶工を募集中)

株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)は、国土交通大臣認定Mグレードの鉄骨製作工場で、溶接工・鍛冶工を正社員で募集しています。未経験の方は先輩と二人一組で、切断・孔あけの補助から本溶接まで順番に覚えていきます。学歴・経験は問いません。

雇用形態は正社員、就業時間は 8:00〜17:00(日勤)、月給 176,000円〜330,000円(経験・資格による)、試用期間なし、資格取得支援あり(受験料・講習費は会社負担)、年間休日100日、マイカー通勤可・無料駐車場ありです。

仕事内容・募集要項・応募方法は 採用情報(溶接工・鍛冶工の求人) にまとめています。「工場を見てみたい」だけのご連絡も歓迎です。


■おわりに

安全の講習・資格の受験資格・工場のグレードごとに必要な資格は、法令や規準に基づく一般論です。就業条件や教え方は当社の募集要項・採用情報の値です。

鉄骨製作のご相談はお問い合わせからどうぞ。

関連記事:
👉 溶接技能者の資格(JIS Z 3841 SA-3F/3H など)と鉄骨工場で必要な人数
👉 鉄骨の溶接工の仕事内容と1日|鉄骨製作工場(Mグレード)で働くと何をするか
👉 鍛冶工と溶接工の違い|鉄骨製作工場の職種と、部材ができるまでの分担

参考にした基準・資料:労働安全衛生法・同規則(特別教育)/JIS Z 3841(半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準)/鉄骨製作工場の性能評価基準(グレードごとの溶接技能者の資格)/株式会社へむろ鉄工 採用情報・会社案内 2026年9月改訂版(就業条件・教え方)


この記事を書いた会社
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)。国土交通大臣認定 Mグレードの建築鉄骨製作工場です。工作図・現寸(REAL4)から製作・検査・出荷まで社内で行い、製作のみ・建方込み・協力工場としての製作分担のいずれの形でも、茨城県内と関東圏を中心に受けています。
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資格区分の確認:日本溶接協会「半自動溶接」。製品の組立溶接の資格は、公共建築工事標準仕様書(令和7年版)7.6.3など、工事の適用仕様で確認します。(2026年9月28日改訂)