■結論:まず「△(隅肉)→左側の寸法→基線の上下」の3つ

鉄骨製作工場の工作図には、たくさんの溶接記号が出てきます。新人がいきなり全部を覚える必要はありません。最初に覚えるのは①△(隅肉溶接)の形、②記号の左に書く断面寸法、③基線の上下(矢側・反対側)という3つの『読み方のルール』です。隅肉溶接では、数字だけなら脚長、数字の前に「a」があれば公称のど厚を示します。
溶接記号は JIS Z 3021:2016 で決まった書き方です。この3つのルールが分かれば、残り7個の記号は同じルールの上に乗るだけなので、覚えるのがぐっと楽になります。記号を読み間違えると、溶接する面やサイズを間違えるので、最初に正確に覚えることが大切です。
👉 記号の仕組み全体(基線・矢・尾、寸法を書く位置)は関連記事「溶接記号の読み方」で説明しています。この記事では新人がどの順で手を付けるかに絞って並べます。
■10個を覚える順番(工作図に出てくる頻度の高い順)

工作図に出てくる頻度が高い順・易しい順に並べると、新人が最初に覚える記号は次の10個になります(出典:JIS Z 3021:2016、当社の工作図)。
- △(隅肉溶接)の形:三角の記号。柱・梁の仕口まわりに一番多く出る
- 断面寸法(記号の左):隅肉溶接では数字だけなら脚長、「a」付きなら公称のど厚。単位はmm
- 基線の上下:下=矢の側、上=矢の反対側を溶接する
- V形・レ形:開先溶接の形。突合せ継手だけでなく、T継手・角継手などにも使われる
- 全周溶接○:基線と矢の付け根につける丸。ぐるっと一周溶接する
- 現場溶接の旗:据付け場所など、工場建屋外で施工する溶接の指示
- 断続溶接の書き方:長さと(ピッチ)で表す(例:6△40(150))
- K形(両面レ形):両側から施工する開先。板厚や継手形式などに応じて使う
- ルート間隔・開先角度:数字を書く位置が決まっている
- 仕上げ・裏波・裏当ての指示:表面形状や仕上げ方法、裏波を記号で確認し、裏当て材の種類などは尾の記載で確認する
この10項目が分かれば、柱・梁の工作図に出てくる主要な溶接指示を追いやすくなります。ただし、完全溶込みか部分溶込みかは、開先の形だけで決めず、記号左側の寸法、尾の注記、図面の凡例、溶接施工要領書を合わせて確認します。細かい記号や凡例独自の表記は、図面ごとの凡例欄で確認します。順番の前半(1〜3)は毎日の作業に直結し、後半(8〜10)は厚板や仕上げの指定がある部材で出てくる、という違いもあります。
■なぜ△(隅肉)から覚えるのか:柱・梁の仕口は隅肉が多い

当社の鉄骨工作図では、柱・梁の仕口まわりに隅肉溶接(△)の指示が多く出てきます。ブラケットやガセットプレート、スチフナの取付けには隅肉溶接が多く、通しダイアフラムと柱・梁の接合部や柱継手では、設計図書などにより完全溶込みの開先溶接が指定されることがあります。V形・レ形は開先形状を示す記号で、継手形式は突合せ継手に限りません。
隅肉溶接の記号を先に読めるようになれば、工作図の主要な指示を追いやすくなります。記号左側の断面寸法が脚長指定か公称のど厚指定かを確認すれば、求められる溶接の大きさを読み取り、溶接ゲージなどで施工結果を確認できます。
基線の上下(矢側・反対側)を読み間違えると、溶接する面を間違えます。仮付けの段階で先輩に確認する習慣をつけるのが、間違いを防ぐ一番の方法です。
全周溶接(○)や現場溶接(旗)は数は少なくても、見落とすと手戻りが大きい記号です。隅肉と脚長が読めるようになった次の段階として、この2つを優先して覚えます。
■当社での教え方:仮付けの段階で記号を確認してから本溶接へ

当社(株式会社へむろ鉄工)では、工作図の読み方・溶接記号・測り方を実物の部材を前に教えます。新人は先輩と二人一組で、切断・孔あけの補助 → 開先加工 → 仮付け → 本溶接の順に進みます。
仮付けの段階で工作図の記号を確認し、本溶接に入る前に脚長や開先の形を先輩と一緒に確かめます。記号を覚えることと実際の部材の見え方を結びつけながら進むので、図面だけで覚えるより頭に残ります。
工作図全体の読み方は関連記事「工作図の読み方入門」、1年目に覚える順番は「未経験から鉄骨の溶接工になる1年目」にまとめています。経験者の方も、当社の工作図の書き方・凡例はこの流れで確認してから製作に入ります。
■へむろ鉄工の場合(溶接工・鍛冶工・CADオペレーターを募集中)
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)は、国土交通大臣認定Mグレードの鉄骨製作工場で、溶接工・鍛冶工・CADオペレーター(鉄骨原寸 REAL4)を正社員で募集しています。溶接工・鍛冶工は8:00〜17:00(日勤)、月給201,000円〜330,000円(経験・資格による)、試用期間なし、資格取得支援あり(受験料・講習費は会社負担)、年間休日100日です。工作図の読み方・溶接記号は、先輩と二人一組で実物の部材を前に教えます。
仕事内容・募集要項・応募方法は 採用情報(溶接工・鍛冶工・CADオペレーターの求人) にまとめています。「工場を見てみたい」だけのご連絡も歓迎です。
■おわりに
溶接記号を読む順番は、隅肉溶接(△)が多い建築鉄骨の工作図に合わせた当社なりの覚え方で、記号の決まり自体は JIS Z 3021:2016 の一般的なルールです。就業条件は当社の募集要項の値です。物件ごとの溶接記号・溶接施工条件は、設計図書と溶接施工要領書が優先します。記号の読み方は入口にすぎず、実際の部材で開先や脚長を確かめながら身につけていくものです。
鉄骨製作のご相談はお問い合わせからどうぞ。
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参考にした基準・資料:JIS Z 3021:2016(溶接記号)/株式会社へむろ鉄工 採用情報・工作図
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)。国土交通大臣認定 Mグレードの建築鉄骨製作工場です。工作図・現寸(REAL4)から製作・検査・出荷まで社内で行い、製作のみ・建方込み・協力工場としての製作分担のいずれの形でも、茨城県内と関東圏を中心に受けています。
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