■結論:Mグレードは工場の製作能力の範囲。個人に任せる仕事は資格・教育・社内確認で決まる

鉄骨製作工場の「グレード」は、国土交通大臣認定Mグレードのように工場が対応できる建築鉄骨の鋼材・板厚の範囲を示す認定制度です。当社(株式会社へむろ鉄工・茨城県小美玉市)はMグレードの認定を受けています。
求職者にとって、認定範囲は工場で扱う仕事を知る目安になります。ただし、認定範囲がそのまま一人ひとりの担当範囲になるわけではありません。実際に任せる作業は、保有資格、社内教育、技能確認、物件ごとの施工要領によって決まります。Mグレードの通常の適用範囲は400N級・490N級、板厚40mm以下、溶接姿勢は下向・横向です。
👉 つまり工場のグレードを見れば、入社後にどんな板厚・どんな姿勢の溶接や加工を担当することになるか、おおまかに見当がつきます。
■グレードとは何か:J・R・M・H・Sの5段階(鉄骨製作工場の性能評価基準)

鉄骨製作工場のグレードは、指定性能評価機関が審査し、国土交通大臣が認定する制度です。区分は下からJ・R・M・H・Sの5段階で、上位のグレードほど対応できる建物の規模と鋼材の種類が広がります。
- Jグレード:3階以下・延べ面積500㎡以内、400N級・板厚16mm以下
- Rグレード:5階以下・延べ面積3,000㎡以内、400N・490N級、板厚25mm以下
- Mグレード:階数・面積の制限なし、400N・490N級、原則として板厚40mm以下、下向・横向(所定の部位には板厚の例外あり)
- Hグレード:400N・490N・520N級、板厚60mm以下、下向・横向・立向
- Sグレード:建物規模・鋼材強度・板厚・作業姿勢について、区分共通の上限を設けない範囲(個別の認定内容・品質計画に従う)
この一覧は鉄骨製作工場の性能評価基準に基づく一般論です。当社はMグレードの認定(認定番号 TFBM-256335、2026-02-12認定)を受けています。区分ごとの詳しい審査項目は、関連記事「鉄骨工場のグレードとは?」にまとめています。
■Mグレード工場で扱う鋼材・板厚・溶接姿勢と、新人が覚える順番

Mグレードの認定条件は鋼材400N級・490N級、板厚40mm以下、溶接姿勢は下向・横向です。当社もこの範囲で、建物の柱・梁(H形鋼の梁、角形鋼管BCR295やボックス断面の柱、通しダイアフラム、ブラケット、ベースプレート)を製作しています。
👉 当社のMグレード認定範囲で本溶接を担当するには、作業内容に対応する下向(SA-3F)・横向(SA-3H)などの有効な資格が必要です。立向はSA-3V、上向はSA-3Oで別の資格区分です。新人はまず下向の基本級(SA-2F)で基礎を学び、社内教育と技能確認を経て、担当する仕事に必要な専門級を取得します。
現場(建方支援など)に出るのは年に数回程度で、ほぼ工場の中の仕事です。現場溶接や立向姿勢が中心になる働き方とは、覚える技能の重心が違います。
■Mグレード工場に要る有資格者の体制と、当社の実際

性能評価基準では、グレードごとに管理技術者・検査技術者・溶接技能者などの資格と配置が定められています。必要な資格区分、人数、兼任の可否などは職種ごとに条件が異なるため、単純に「各資格者を正社員で1名ずつ」とは限りません。当社は認定範囲に必要な有資格者と品質管理体制を整えています。
当社の有資格者(2026年9月時点)は、鉄骨製作管理技術者1級2名・2級3名、溶接管理技術者2級2名、JIS溶接技能者5名(SA-3F4名、SA-3H3名、SA-3V1名ほか)です。資格は給与に反映され、受験料・講習費は会社負担、更新の時期も会社で管理しています。
未経験で入社した場合も、この体制の中で先輩の指導を受けながら資格を段階的に取得していく形になります。
■グレードが上がると、新人・経験者に任される仕事の幅も変わる

工場のグレードは優劣を示す格付けではなく、工場の製作能力を区分したものです。本溶接は、その作業に対応する有効な資格を持ち、工場の技能確認を受けた人が担当します。組立・切断・孔あけなどは溶接資格だけで一律に決まるものではなく、教育と技能確認に応じて担当範囲を広げます。当社では未経験者も、先輩の指導のもとで作業を段階的に覚えます。
経験者も、保有資格の有効性と適用範囲、実技、社内手順を確認したうえで担当作業を決めます。工作図を読んで段取りできる人は、経験に応じて工程管理を担う場合があります。半自動溶接の経験は活かせますが、JIS溶接技能者の資格は適格性証明書が有効で、担当する溶接方法・材料・板厚・姿勢などに適合していることを確認する必要があります。
👉 グレードの範囲がそのまま「工場で任される仕事の天井」ではなく、資格を取るほど任される範囲が広がるという関係です。資格の読み方は関連記事「溶接技能者の資格」に詳しく書いています。
■へむろ鉄工の場合(溶接工・鍛冶工を募集中)
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)は、国土交通大臣認定Mグレードの鉄骨製作工場で、溶接工・鍛冶工を正社員で募集しています。雇用形態は正社員、就業時間は 8:00〜17:00(日勤)、月給 201,000円〜330,000円(経験・資格による)、試用期間なし、資格取得支援あり(受験料・講習費は会社負担)、年間休日100日、マイカー通勤可・無料駐車場ありです。
仕事内容・募集要項・応募方法は 採用情報(溶接工・鍛冶工の求人) にまとめています。「工場を見てみたい」だけのご連絡も歓迎です。
■おわりに
グレードの区分・審査項目は性能評価基準に基づく一般論で、認定条件・有資格者数・就業条件は当社の実際の値です。物件ごとに対応可能かどうかは、設計図書と当社の認定範囲を照らし合わせて判断します。
工場見学や応募のご相談はお問い合わせからどうぞ。
関連記事:
👉 鉄骨工場の「グレード」とは?J・R・M・H・Sの違い
👉 溶接技能者の資格(JIS Z 3841 SA-3F/3H など)と鉄骨工場で必要な人数
👉 鉄骨の溶接工の仕事内容と1日
参考にした基準・資料:鉄骨製作工場の性能評価基準(別表第1・別表第2)/一般社団法人 全国鉄骨評価機構/国土交通省「鉄骨生産工場認定制度の例」/当社Mグレード認定書/当社Mグレード認定範囲/株式会社へむろ鉄工 採用情報・会社案内 2026年9月改訂版
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)。国土交通大臣認定 Mグレードの建築鉄骨製作工場です。工作図・現寸(REAL4)から製作・検査・出荷まで社内で行い、製作のみ・建方込み・協力工場としての製作分担のいずれの形でも、茨城県内と関東圏を中心に受けています。
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