■結論:片側から根元まで溶かすための当て金

裏当て金(うらあてがね)とは、開先の裏に当てる鋼の帯です。片側からの溶接で根元まで溶かす(完全溶込み)ために、溶けた金属を裏で受け止めます。
裏当て金は溶けた金属を支え、片側からの完全溶込み溶接を施工する助けになります。ただし、取り付けるだけで健全な溶込みが保証されるわけではなく、開先形状・密着状態・初層の融合・施工条件を管理します。
■何のため?(根元を受けて溶かす)

裏当てが無いと、根元が溶け落ちたり、溶け込み不足になりやすくなります。
裏当て金で溶融金属を支えながら、母材の開先底部を十分に溶かして融合させます。溶込み不足や融合不良を防ぐには、適切なルート間隔と溶接条件の管理が必要です。
■すき間の管理(母材に密着させる)

裏当て金は、母材にすき間なく密着させます。すき間が大きいと、そこから溶け落ちたり、融合不良などの欠陥が出やすくなります。
裏当て金は母材に十分に密着させ、すき間は工事で採用する工作・検査基準の許容差で確認します。許容を超える場合は組立を修正し、独断で肉盛りして埋めるのではなく、承認された補修方法・溶接施工要領に従います。
■組立溶接(仮付け)の禁止位置

裏当て金は、本溶接の前に組立溶接(仮付け)で仮固定します。このとき、付けてよい場所と、付けてはいけない場所があります。
- 組立溶接は原則として開先内を避ける。やむを得ず開先内に行う場合は、本溶接で確実に再溶融されるなど品質を確保し、適用仕様に従う
- 裏当て金の位置決め溶接は、フランジの外側や縁など応力集中の原因になる位置を避ける。接合形式ごとの指定位置を工作図・施工要領で確認する
■梁端では特に注意(割れの起点になりうる)

裏当て金と、その仮付けは、地震で力がかかる梁端では弱点になりえます。スカラップと同じで、切り欠きや傷から割れが始まることがあります(阪神・淡路大震災の教訓)。
- 「どこでも開先内ならよい」と判断せず、裏当て金の位置決め溶接の位置・長さを適用仕様と接合詳細で確認する
- 裏当て金の端(エンドタブとの取り合い)や、すき間の管理も丁寧に
- 重要な梁端では、裏当て金の扱いを設計図書・施工要領(WPS)で決める
■まとめ:小さな当て金が品質を左右する

裏当て金の品質管理は、溶融金属を支える役割、母材との密着、位置決め溶接の位置が要点です。完全溶込みを確保するには初層の融合も重要です。組立溶接は原則として開先内を避け、接合性能を損なわない施工方法を選びます。
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参考:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版7.6.5(組立溶接)・7.6.7(裏当て金)。図は既存のまま、誤っていた仮付け位置の説明を本文・図注で訂正しました。(2026年9月28日改訂)
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)。国土交通大臣認定 Mグレードの建築鉄骨製作工場です。工作図・現寸(REAL4)から製作・検査・出荷まで社内で行い、製作のみ・建方込み・協力工場としての製作分担のいずれの形でも、茨城県内と関東圏を中心に受けています。
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