梁ウェブの角を半円に切り欠いたスカラップの図

スカラップとは?|鉄骨用語【鉄骨ファブが解説】


■結論(一言で)

梁ウェブの角を半円に切り欠いたスカラップの図
スカラップ=梁ウェブの角を半円に切り欠いたもの

スカラップとは、梁の端を柱に溶接するときに、梁ウェブ(腹板)の角を半円に切り欠いたものです。フランジの開先溶接と、ウェブの溶接が重ならないようにするための「逃げ」です。

  • スカラップ:梁ウェブの角(フランジとの境目)に設ける半円形の切り欠き
  • 役割:フランジの溶接とウェブの溶接が交わらないように離す
  • 付く場所:柱に梁を溶接する梁端の接合部(ウェブ側の両角)

切り欠きが無いと、フランジの溶接とウェブの溶接が交わる部分ができ、そこに欠陥が出やすくなります。

👉 スカラップは、溶接の品質と作業性のために設ける切り欠きですが、切り欠きであるがゆえに弱点にもなり得ます。


■意味と決まり

従来型スカラップ・改良型スカラップ・ノンスカラップ工法の比較図
従来型・改良型・ノンスカラップの3つ

スカラップは切り欠きなので、その底に力が集中します(応力集中)。1995年の阪神・淡路大震災では、梁の端がこのスカラップ底を起点に割れる被害が多く見られました。

  • 従来型スカラップ:半円の切り欠き。作業はしやすいが、底に力が集中しやすい
  • 改良型スカラップ:底を大きな半径にして、力の集中をやわらげた形
  • ノンスカラップ工法:切り欠き自体をなくす。最も粘り強いが、専用の溶接施工要領(WPS)に従う必要がある

👉 この被害をきっかけに、告示や指針で、スカラップ底の粘り強さ(靭性)に配慮するようになりました。


■鉄骨工場での扱い

鉄骨工場では、梁の製作図(工作図)にスカラップの形・寸法が指示され、それに合わせて加工します。

  • 製作図の指示どおりの半径・位置で切り欠く(工場の判断で形を変えない)
  • ノンスカラップ工法が指定された場合は、専用の溶接施工要領(裏当て金の付け方・溶接順序)に従う
  • 溶接後は、スカラップ部も含めて外観検査・UT(超音波探傷検査)の対象になる

👉 どの形にするかは、建物の重要度や接合部の設計で決まります。個別の物件は設計図書と監理者の指示が優先します。


■関連する本記事


■参考にした基準・資料

この記事は、本記事「スカラップとノンスカラップ工法|地震で分かったこと」(日本建築学会 建築工事標準仕様書 JASS 6 鉄骨工事・鉄骨工事技術指針にもとづく)と同じ内容を短くまとめたものです。個別の物件は設計図書と監理者の指示が優先します。


この記事を書いた会社
株式会社へむろ鉄工(茨城県小美玉市)。国土交通大臣認定 Mグレードの建築鉄骨製作工場です。工作図・現寸(REAL4)から製作・検査・出荷まで社内で行い、製作のみ・建方込み・協力工場としての製作分担のいずれの形でも、茨城県内と関東圏を中心に受けています。
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