図面の寸法から断面積、単位質量、1本の質量、設計数量、所要数量へと進む計算の流れを示した図

鋼材の重量計算|単位質量と見積の関係【鉄骨ファブが解説】


■結論:重さは「単位質量 × 長さ(面積)」を部材ごとに積み上げる

図面の寸法から断面積、単位質量、1本の質量、設計数量、所要数量へと進む計算の流れを示した図
重さは図面の寸法から順に積み上げる

鉄骨の見積や材料の手配では、まず「全部で何トンか」を出します。この重さは、はかりに載せて量るものではありません。図面の寸法から計算で出すものです。

流れは次のとおりです。

  • 断面積:図面の寸法(呼称寸法)を JIS の式に入れて出す
  • 単位質量:断面積に基本質量を掛けて、1m あたり(鋼板なら 1m² あたり)の重さにする
  • 1本の質量:単位質量 × 長さ(鋼板は × 面積)
  • 設計数量:部材表の全部材を合計した重さ
  • 所要数量:定尺の切り無駄などを見込んで割り増した重さ

👉 計算に使う寸法は実測値ではなく呼称寸法なので、図面が同じなら誰が計算しても同じ重さになります。だから重さは、発注者と工場が同じ物差しで話せる数字になり、見積のベースに使われます。

H形鋼の寸法の読み方そのものはH形鋼の寸法の読み方にまとめています。この記事では、重さの出し方と、その重さが見積でどう使われるかに絞って説明します。


■基本の数字:7.85・0.785・7.85×10⁻³ はどれも同じ密度

形鋼・鋼板・平鋼それぞれの JIS の基本質量と単位質量の出し方を3つの枠に並べた図
単位の置き方が違うだけで、元は同じ 7.85

JIS は鋼材の形ごとに、質量の計算方法を表で決めています。質量は計算質量とし、寸法は呼称寸法を使います。

  • 形鋼(JIS G 3192 表6):基本質量 0.785(断面積 1cm²・長さ 1m の質量)。単位質量(kg/m)= 0.785 × 断面積(cm²)
  • 鋼板(JIS G 3193 表12):基本質量 7.85(厚さ 1mm・面積 1m² の質量)。単位質量(kg/m²)= 7.85 × 厚さ(mm)
  • 平鋼(JIS G 3194 表5):基本質量 7.85×10⁻³(断面積 1mm²・長さ 1m の質量)。単位質量(kg/m)= 7.85×10⁻³ × 幅 × 厚さ(mm²)

3つとも、元は「1cm³ で 7.85g」という鋼の密度です。1cm² × 100cm = 100cm³ で 785g = 0.785kg、1mm × 1m² = 1,000cm³ で 7.85kg。単位の置き方が違うだけです。

丸め方も決まっています。断面積(鋼板は面積)は有効数字 4 桁、単位質量と 1 本(1 枚)の質量は有効数字 3 桁(1,000kg を超えるものは kg の整数)、総質量は 1 本の質量 × 同じ寸法の本数で kg の整数に丸めます。丸め方は JIS Z 8401 の規則A によります。

👉 材質で式は変わりません。建築構造用の SN 材(JIS G 3136)も、形状・寸法・質量は JIS G 3192・3193・3194 によるとされています(材質の違いはSS400・SM490・SN400・SN490 の違い)。


■断面積の式で検算する:規格の表と一致するか

H形鋼・山形鋼・平鋼・角形鋼管・鋼板の断面積と単位質量を自分で計算し、規格の表の値と照合した表
式の全部の項を入れると、表の値と一致する

式が分かれば、規格の表の値を自分で確かめられます。実際に計算して、JIS と鉄鋼連盟の製品規定の表と照らし合わせました。

  • H形鋼 H-300×150×6.5×9(r=13):6.5×(300-2×9)+2×150×9+0.858×13² = 1,833+2,700+145.0 = 4,678mm² = 46.78cm²。0.785×46.78 = 36.72 → 36.7kg/m(JIS G 3192 表15 と一致)
  • 等辺山形鋼 L-65×65×6(r1=8.5、r2=4):6×(2×65-6)+0.215×(8.5²-2×4²) = 744+8.65 = 752.7mm² → 7.527cm²。0.785×7.527 → 5.91kg/m(表8 と一致)
  • 平鋼 FB-12×100:12×100 = 1,200mm²。7.85×10⁻³×1,200 = 9.42kg/m(JIS G 3194 表6 と一致)
  • 角形鋼管 BCR295 □-200×200×9:0.0157×9×(200+200-3.716×9) = 51.79 → 51.8kg/m(MDCR 0002 付表と一致)
  • 鋼板 PL-12:7.85×12 = 94.2kg/m²

角形鋼管の式は、角の外側を半径 2.5t の円弧とみなして計算したものです。4 辺の板の断面積から角の重なりと丸みの分を引くと、断面積はおよそ 2t(H+B-3.716t) になり、これに 7.85×10⁻³ を掛けると 0.0157t(H+B-3.716t) になります。製品規定には、実際の角の形はこの円弧と多少異なる、と注記されています(角形鋼管の種類はBCR295・BCP325 の違い)。

👉 H形鋼の 0.858r² のような隅の丸みの項を落とすと、表の値と合いません。式の項は全部入れる、が検算のコツです。


■部材重量の積み上げ:部材表を合計する

梁・柱・ブレース受け・スチフナー・ベースプレートの単位質量、長さ、本数から小計と合計を出した部材表
1本の質量 × 本数を部材ごとに足していく

建物全体の重さは、部材表の 1 行ずつを「単位質量 × 長さ(面積)× 本数」で計算して足し上げます。図の例(説明用の架空の部材表)では、梁 792kg、柱 372kg、ブレース受け 59kg、スチフナー 23kg、ベースプレート 30kg で、合計 1,276kg になります。

国土交通省の公共建築数量積算基準は、鋼材の数量を設計長さ(または面積)に JIS で定める単位質量を掛けた質量とし、数え方の約束も決めています。

  • ボルト孔・開先・スカラップ、柱と梁の接続部のクリアランスによる欠けは、原則として差し引かない。1 か所 0.1m² 以下のダクト孔なども同じ
  • 鋼板は設計寸法による面積で数える。複雑な形は近い長方形として数えてよい
  • 柱や梁の継手のスプライスプレートと高力ボルトは、接合する「あとの部分」に含める
  • 接合部の板厚の差などで 1mm を超える隙間は、フィラープレートが入るものとして数える

👉 積み上げで多い間違いは、計算より拾い漏れと二重拾いです。柱・梁・ブレース・付帯鉄骨の区分と、接合部材をどちらに含めるかを先に決めてから数えます。


■設計数量とロス:「どの数量か」で言葉の意味が変わる

公共建築数量積算基準と単品スライド条項運用マニュアルの設計数量・所要数量の定義を並べ、部材表の例に割増を掛けた図
同じ言葉でも、ロスを含むかどうかが資料で違う

鋼材は定尺で買って切るので、図面どおりの重さだけを買えば足りるわけではありません。切り無駄(ロス)をどう扱うかは、資料ごとに言葉が決まっています。

  • 公共建築数量積算基準:設計数量は、設計図書の個数と設計寸法から求めた数量(材料のロス等は単価の中で考慮)。所要数量は、定尺寸法による切り無駄や、施工上やむを得ない損耗を含んだ数量
  • 同基準の鉄骨では、材料価格に対応する数量は所要数量とし、所要数量を求めるときの割増の標準を形鋼・鋼管・平鋼 5%、広幅平鋼・鋼板(切板)3%、ボルト類 4%としている
  • 単品スライド条項 運用マニュアル(暫定版):鋼材類は購入した数量のうち、設計数量(設計図書で明示されている数量 ×(1+ロス率))までを対象数量にできる。ロス分を対象にするときは、スクラップとして売却する分も適切に処理する

前の章の例に積算基準の割増を当てはめると、形鋼・鋼管・平鋼 1,246kg × 1.05 = 1,308.3kg、鋼板 30kg × 1.03 = 30.9kg で、所要数量は約 1,339kg になります。ただしこの率は積算の標準で、物件ごとの実際のロスとは限りません。

👉 注意したいのは、同じ「設計数量」でも、建築の積算基準ではロスを含まず、単品スライドのマニュアルではロスを含むことです。数字をやりとりするときは「設計図書の数量か、ロス込みか」を書き添えると、行き違いが防げます。定尺と切板の考え方は鋼材の発注から入荷までにまとめています。


■重さが見積のベースになる理由

公共建築工事内訳書標準書式の本体鉄骨の細目と、単位(t・本・m)、所要数量か設計数量かをまとめた表
材料だけでなく、加工・運搬・建方も t で数える

国土交通省の公共建築工事内訳書標準書式(建築工事編)を見ると、本体鉄骨の細目の多くが重さ(t)で数えられています。

  • 鋼材(切板鋼板・形鋼・角形鋼管・平鋼・丸鋼):t、所要数量
  • 鉄骨スクラップ控除:一式でマイナス計上
  • 工場加工組立(溶接材料及び溶接手間共):t、設計数量
  • 溶融亜鉛めっき・鉄骨運搬・現場建方:t、設計数量
  • 高力ボルト類:t、所要数量。締付けは本数
  • 現場溶接:隅肉 6mm 換算の長さ(m)

材料は切り無駄を含む所要数量、加工・運搬・建方は設計数量で数え、切り無駄はスクラップとして差し引く、という組み立てです。重さが見積の土台になるのは、図面から誰でも同じ値を出せて、材料にも手間にも共通して使えるからです。

👉 ただし重さだけで全部が決まるわけではありません。締付けは本数、現場溶接は長さで別に数えます。同じ重さでも部材が小さく数が多ければ、切断・孔あけ・溶接の手数は増えます。重さと合わせて、部材の数や溶接の長さも見るのが実務の見方です(切断の方法は鋼材の切断)。


■重量計算でつまずきやすいところ

  • H形鋼の断面を「H-300×150」までで計算する。t1×t2 まで決めないと単位質量が決まらない
  • 隅の丸み r の項を落とし、規格の表より軽い値を出してしまう
  • 鋼板を m² 単価の感覚で扱い、厚さを掛け忘れる。PL-12 は 94.2kg/m²、PL-16 なら 125.6kg/m²
  • 途中の丸めを自己流にして、表や相手の計算と数 kg ずれる。丸める順番と桁も JIS に決まりがある
  • 孔やスカラップの欠けを差し引いてしまう。積算では原則として差し引かない
  • 「設計数量」がロス込みかどうかを確かめずに数字を比べる

どれも、式と約束事を一度確かめておけば防げます。表の値と一致するまで自分で計算してみるのが、いちばんの近道です。


■まとめ

  • 鋼材の重さは、図面の寸法(呼称寸法)から計算する計算質量
  • 基本質量は形鋼 0.785(kg/cm²・m)、鋼板 7.85(kg/mm・m²)、平鋼 7.85×10⁻³(kg/mm²・m)。元は密度 7.85g/cm³
  • 断面積は有効数字 4 桁、単位質量・1 本の質量は 3 桁、総質量は kg の整数に丸める(JIS Z 8401 規則A)
  • H-300×150×6.5×9 は 46.78cm²・36.7kg/m、L-65×65×6 は 5.91kg/m、FB-12×100 は 9.42kg/m、BCR295 □-200×200×9 は 51.8kg/m
  • 角形鋼管(BCR295)は 0.0157t(H+B-3.716t)。角の外側を半径 2.5t の円弧として計算
  • 部材表を「単位質量 × 長さ × 本数」で積み上げる。孔・スカラップの欠けは原則差し引かない
  • 建築の積算では設計数量にロスを含まず、所要数量で割り増す(形鋼・鋼管・平鋼 5%、鋼板 3%、ボルト類 4% が標準)
  • 単品スライドのマニュアルでは、設計数量 = 設計図書の数量 ×(1+ロス率)
  • 内訳書の鋼材・加工組立・めっき・運搬・建方は t で数える。締付けは本数、現場溶接は長さ

■参考にした基準・資料

この記事の数値と用語は、次の基準・資料にもとづいています。物件ごとの仕様は、設計図書と監理者の指示が優先します。


■おわりに

鋼材の重さは、式と丸め方さえ押さえれば、図面から誰でも同じ値を出せます。その「誰でも同じ」という性質が、重さを見積の共通の物差しにしています。一方で、ロスをどこまで含めるか、どの項目を重さ以外で数えるかは、数字を比べる前に確かめておきたいところです。

発信元のは、建築鉄骨の製作(Mグレード認定工場)を行っています。図面の読み取りから材料の手配・加工・溶接・検査まで一貫して対応していますので、鉄骨製作のご相談・お見積りはお問い合わせからどうぞ。図面(PDF・DXF)を添えていただければ、より具体的にご返事できます。これまでの製作実績もあわせてご覧ください。

関連記事:
👉 H形鋼の寸法の読み方|H-400×200×8×13 の意味
👉 鋼材の発注から入荷まで|定尺・切板・ミル納期
👉 角形鋼管(コラム)BCR295・BCP325 の違い|ロール成形とプレス成形